
虫調査プログラム
~閉ざされた庭に住む生き物の秘密に迫れ~
▼プログラム
◯虫調査プログラム @對龍山荘
2024年6月15日(土)〜16日(日)
◯標本整理 @東大先端研
2024年7月21日(日)
◯標本同定および養老孟司先生への報告会 @東大先端研/オンライン
2024年9月27日(水)
「我こそは、生き物博士だ!」と意気込む全国の虫好きな子どもたちが、京都の對龍山荘に集まった。築100年の歴史ある庭園で、そこに息づく昆虫や生き物についての本格的な調査に、専門家とともに取り組んだ。
このプログラムの目的は、ただの虫捕りではなく「調査」。採集から標本の作成・整理・同定、レポートの作成まで、研究者と同じプロセスを一通り体験する学びの場だ。日中は、草むらに分け入りながらの昆虫採集や、標本づくりに夢中になった子どもたち。夜にはライトトラップを使った観察も予定していたが、残念ながら雨により途中で中断に。悔しがる声もあがったが、自然が相手の調査では、こうしたハプニングも大事な学びになる。計画通りにいかないことも含めて、研究の現場を肌で感じる経験となった。採集から標本にするまでのプロセスを通じて、「命と向き合う」時間が、自然と子どもたちに伝わっていったように思える。昆虫図鑑を片手に「あれかな?いや、ちょっと違うかも」と、同定に挑戦する姿はまさに未来の研究者。紙の図鑑を何度もめくるうちに、「わかった!」と声を上げる瞬間には、学びの喜びがぎゅっと詰まっていた。
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— 参加者から寄せられた感想 —
※一部抜粋して掲載しています。
京都の對龍山荘での採集では、初めて同年代の虫好きの方や講師の方と一緒に生き物を捕まえて、刺激をたくさん受けました。今まで周りに自分以外に虫好きがおらず、自分より虫を追いかけている人を見たことがなかったけれど、今回のプログラムに参加した全員が熱心に生き物を探したり、観察したりしていて、世の中にはたくさんの虫好きがいるのだということを知りました。採集では、見たことのない虫を見ることができ、嬉しかったです。昆虫やサワガニなど多くの種がいて、池や川など環境も隅々まで整備されていたので、對龍山荘が長い間どれだけ大切に管理されてきたかが分かりました。標本作りは初めてすることだったので、標本の作り方を調べたり、材料を用意したり大変でしたが、勉強になりました。同定をするときも数冊の図鑑を使って、大まかな種から1つに特定するのが難しかったです。自分では見た目が似ている種までしか特定することができなかったので、これから経験を積んで自分で同定できるようにしたいです。また、博物館などでたくさんの標本を見ることができるけれど、標本づくりや標本の管理の大変さを知って、博物館の管理能力の凄さを感じました。また、プログラムに参加する前は、虫は生きている姿が一番きれいで、殺すのも可哀想だと思っていたので、標本についてあまり肯定的ではなかったけれど、学術面の標本の意味を秋田先生から聞いて、標本の大切さを学ぶことができたのでよかったです。それでも標本を作るときに生きているモノサシトンボを殺すのが心苦しかったので、個人的に趣味の昆虫採集の場面ではあまり標本は作るのは控えたいと思いました。養老先生への報告会では、養老先生の虫に対する考えを聞くことができ、良い学びになりました。実際にユーカリの木の昆虫探しはできなかったのは残念ですが、いつかまた行ったときに試してみようと思います。今回のプログラムを通して初めてのことをたくさん経験でき、とても良い学びになりました。今までは趣味で楽しむだけだったけれど、学術の面について教えていただいて、生き物の新しい世界を知ることが出来ました。(高2 岐阜県)
僕はいつも標本を作らず観察して終わりだったのですが、観察して標本を作るという過程があって大変ながらもとても楽しく感じることが出来ました。あのクビキリギスの標本は自分からみてとても上手くできた気がします。この標本作りを経験してから家でも標本を作ることが増えました。その後にした同定では今までみたことはあっても調べたことはない虫などをよく知ることができて楽しく、嬉しかったです。養老先生には、とてつもなく緊張して口ごもってしまったけど、上手く伝えたいことを伝えられてよかったです。(中2 東京都)
専門家の方達と昆虫の事について話せたり、昆虫好きの友達が出来たりして、とても楽しかったです。ライトトラップは途中で終わってしまい残念でしたが、綺麗な蛾は見れたので嬉しかったです。小さい昆虫の同定は難しかったですが同定のコツを教えてもらい、とても勉強になりました。(中3 埼玉県)
僕は今回のプログラムに参加して、甲虫の標本の作り方や、同定の仕方などを学ぶことができてとても楽しかったです。またこのようなプログラムがあれば参加させていただきたいです。(中2 東京都)
— 調査レポート —
プログラムで採取された8目77種の虫について、参加者がレポートをまとめました。下記よりご覧ください。
— 標本リスト —
※下記表は下にスクロールしてご覧ください。
標本リスト | ||
1 | カゲロウ目 | トウヨウモンカゲロウ |
2 | カマキリ目 | オオカマキリ |
3 | コウチュウ目 | スグリゾウムシ |
コウチュウ目
|
ヒメクロオトシブミ | |
コウチュウ目
|
ヒレルクチブトゾウムシ | |
コウチュウ目
|
ウスモンカレキゾウムシ | |
コウチュウ目
|
ヤマトタマムシ | |
コウチュウ目
|
マスダクロホシタマムシ | |
コウチュウ目
|
ヒメコガネ? | |
コウチュウ目
|
セマダラコガネ | |
コウチュウ目
|
ナガチャコガネ | |
コウチュウ目
|
ニセマルガタゴミムシ?もしくは、マルガタゴミムシの1種
|
|
コウチュウ目
|
ハネカクシ科の一種 | |
コウチュウ目
|
キボシツツハムシ | |
コウチュウ目
|
オオナガコメツキ | |
コウチュウ目
|
ヒゲコメツキ | |
コウチュウ目
|
ラミーカミキリ | |
コウチュウ目
|
ナガゴマフカミキリ | |
コウチュウ目
|
キマダラミヤマカミキリ | |
コウチュウ目
|
ナミテントウ | |
コウチュウ目
|
オオメキバネハムシダマシ | |
コウチュウ目
|
クリイロクチキムシ | |
ゴキブリ目 | モリチャバネゴキブリ | |
4 | チョウ目 | ベニシジミ |
チョウ目 | キマダラルリツバメ | |
チョウ目 | アカシジミ | |
チョウ目 | ムラサキシジミ | |
チョウ目 | ルリシジミ | |
チョウ目 | ヤマトシジミ | |
チョウ目 | モンシロチョウ | |
チョウ目 | ツマグロヒョウモン | |
チョウ目 | ヨツボシホソバ | |
チョウ目 | ナミガタシロナミシャク | |
チョウ目 | カノコガ | |
チョウ目 | クロホウジャク | |
チョウ目 | ホタルガ | |
チョウ目 | スジキリヨトウ | |
チョウ目 | モンクロベニコケガ | |
チョウ目 | エグリエダシャク | |
チョウ目 | ウスサカハチヒメシャク | |
チョウ目 | キクビゴマケンモン | |
チョウ目 | エグリイチモジエダシャク | |
チョウ目 | ヒメシャク sp | |
チョウ目 | キモンホソバノメイガ | |
チョウ目 | コキモンウスグロメイガ | |
チョウ目 | ヒメアカジママドガ | |
チョウ目 | キシタエダシャク | |
チョウ目 | ミツオビキンアツバ | |
チョウ目 | オオウスベニトガリメイガ | |
チョウ目 | ツトガsp | |
チョウ目 | ハマキsp | |
トンボ目 | モノサシトンボ | |
5 | トンボ目 | オオシオカラトンボ |
トンボ目 | イトトンボ科の1種 | |
トンボ目 | コオニヤンマ | |
トンボ目 | コシアキトンボ | |
トンボ目 | マユタテアカネ | |
トンボ目 | ショウジョウトンボ | |
トンボ目 | ヤゴ3 | |
6 | ハサミムシ目 | キアシハサミムシ |
7 | ハチ目 | ルリチュウレンジ |
ハチ目 | キボシアシナガバチ | |
ハチ目 | アカスジチュウレンジ | |
ハチ目 | ニホンカブラハバチ | |
ハチ目 | キンケハラナガツチバチ | |
ハチ目 | クロヤマアリ | |
ハチ目 | ハリブトシリアゲアリ | |
ハチ目 | アメイロアリ | |
ハチ目 | クボミシリアゲアリ | |
ハチ目 | クロオオアリ | |
ハチ目 | ホソウメマツオオアリ | |
ハチ目 | オオハリアリ | |
ハチ目 | ハヤシケアリ | |
ハチ目 | アミメアリ | |
ハチ目 | ヒラセムネボソアリ | |
8 | バッタ目 | クビキリギス |
バッタ目 | ANcile cinenea? |
<本プログラムについて>
プログラム概要および募集要項はこちらから
共催:東京大学先端科学技術研究センター LEARN・(株)ニトリホールディングス